環境方針

HISグループが事業を持続させていくには、人類を含めた動植物が生きる基盤となる健全な地球環境が必要だと考えています。
そのために、事業活動における環境負荷軽減や省資源化に取り組みます。
そして、多くの方に生物多様性や地球環境に触れ学ぶ機会の提供を行うことは、観光産業を祖業とする私たちが持続可能な地球のためにできる、私たちの使命だと捉え取り組んでまいります。

気候変動への対応(TCFD・ISSBに基づく情報開示)

HISグループは、TCFDコンソーシアムの後継組織である「GXフューチャー・コンソーシアム(GXFC)」に参画しています。現在はTCFD提言およびIFRSサステナビリティ開示基準(ISSB)に基づき、気候変動が当社の事業活動に与えるリスクと機会を把握し、①ガバナンス、②戦略、③リスク管理、④指標と目標の4つの柱に沿って開示を行っています。
今後も国際的な開示基準の進展に合わせ、持続可能な社会の実現に向けた情報開示のさらなる充実を図ってまいります。

1. ガバナンス

HISグループは、私たちが社会に提供し続けていきたい価値、行動指針、創業の精神を示した「HIS Group Philosophy」に則り、内部統制の仕組みの整備と運用に取り組むとともに、サステナビリティ推進体制を強化しています。
取締役および執行役員を構成メンバーとするサステナビリティ推進委員会にて、サステナビリティ基本方針に沿って重要方針や指標・目標、施策について議論をするとともに、進捗のモニタリング等を原則四半期ごとに(FY2025は4回実施)行っています。またリスク管理や施策実施においては、リスク・コンプライアンス委員会、業務執行部門、国内外子会社と連携して取り組み、実効性を高めています。なお、重要な事項については、同委員会より取締役会に上程または報告し、適宜必要な指示・助言を受けています。さらに、サステナビリティ推進委員会の下部組織として業務執行部門メンバーからなるサステナビリティ推進プロジェクト、DEIB推進プロジェクト、人権DD推進プロジェクトに加え、北中南米およびアジア・オセアニア地域においてもサステナビリティ推進委員会を設け定期的な活動を行い、各所での推進力を高めております。また、2025年9月にはサステナビリティウィークを開催して従業員の意識醸成の機会を設けました。今後も、社会課題の解決と企業価値向上を目指して意識改革と事業への実装を推進してまいります。

コーポレートガバナンス体制図

推進体制図

2. 戦略

当社グループは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言の枠組みに沿って気候変動シナリオ分析を行い、事業に関連する気候変動リスク・機会とその影響の大きさおよびその対応策をまとめています。リスク重要度が高く長期に及ぶ項目においては、これらを踏まえ、脱炭素社会への移行を機会と捉え、サステナブルツーリズムの推進や環境配慮型商品の開発、移行を強化しています。

物理的リスク

重要度 リスク・機会の項目 対応策となる取り組み 期間

台風、豪雨、熱波等の頻度の増加、被害の甚大化

  • 危機管理マニュアルに基づくお客様対応
  • 旅マエのサポートサービスの充実化(キャンセルサポート)
  • グローバルネットワークを活用した安心・安全の提供(DX推進)
  • 保有施設・車両における防災マニュアル、防災訓練の徹底
  • 備蓄品や避難体制の整備
短期~長期
自然災害によるデータセンター(DC)被害に伴うサービス提供の停止・遅延
  • DC構成の見直し
  • サーバーのクラウド移行
  • 重要データの冗長化
短期~中期

移行リスク

重要度 リスク・機会の項目 対応策となる取り組み 期間

気候変動への関心の高まりによる顧客行動・嗜好の変化

  • プラスチック製品の削減や、ペーパレス化の促進
  • 環境保護体験プログラムの提供
  • 保有バス・車両においてのEV化、FCV化等の推進
  • カーボンニュートラル商品の提供
  • 新たな体験価値の提供
  • 環境に配慮された移動手段の導入
  • 積極的な情報開示
短期~長期
燃料の高騰に伴うサービス価格上昇による消費者心理の冷え込み
  • マイクロツーリズムの推進
  • 旅行の需要喚起
  • 新たな体験価値の提供
短期~長期
気温や海面の上昇等の環境変化や、それに伴う新たな規制・法律・条例の制定に起因するサービスの減少
  • 新たな商品開発・デスティネーション開発
  • 自然環境保護を目途とした商品開発(観光局や自治体と連携)
  • 旅行業以外の事業の拡大
中期~長期
気候変動への取り組みが不十分と評価された時の企業価値の低下、投資先や取引先の減少
  • 積極的な情報開示
  • 再生可能エネルギーへの投資
短期~長期
GHG(温室効果ガス)排出に関する規制強化における、車両等の運行制限、課税率上昇による事業運営費用の増加
  • 保有バス・車両においてのEV化、FCV化等の推進
  • 環境に配慮された移動手段への投資や導入
  • サプライヤーのGHG排出量把握及びサステナビリティ調達の検討
中期~長期
カーボンプライシングの導入による事業運営費用の増加
  • 省エネ化、再生可能エネルギーの導入
  • 保有バス・車両においてのEV化、FCV化等の推進
  • プラスチック製品の削減や、ペーパレス化の促進
長期

【期間】・短期(~FY2024) ・中期(FY2025~FY2026) ・長期(FY2027~FY2030)
※前提条件に大きな変化がないため、2023年度の分析結果を継続して使用しております。

3. リスク管理

当社グループでは、リスクマネジメントおよびコンプライアンスの徹底を通じた業務の適正確保を目的として「リスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。当委員会は原則四半期ごとに開催され(FY2025は8回開催)、グループ各社からの報告をもとに、HISグループ全体の事業リスクに関する情報の収集・共有および議論を行っています。同委員会の事務局である「リスク管理室」とサステナビリティ推進委員会が連携して気候変動によるリスクを含めたHISグループにおけるリスクの洗い出し・分析・評価を行い、優先すべきリスクを特定しました。そして、リスク管理室が中心となりリスク対応に係る管理体制の整備や、リスクの顕在化を未然に防止するための活動を推進しています。また、ガバナンス統括本部の各部署およびグループ各社に選出されたリスク・コンプライアンス責任者と連携してコンプライアンスの徹底を促すほか、グループ全体の実効性向上に取り組んでいます。なお、グループ全体の方針や戦略に反映させる必要があるものは、適宜取締役会に上程しています。

4. 指標と目標

当社グループでは、マテリアリティ(重要課題)の1つに「地球環境の保全」を掲げ、気候変動への対応を経営の重要課題と捉えています。2025年5月、脱炭素社会の実現に向けた中長期のCO2削減目標(株式会社エイチ・アイ・エス)を策定いたしました。
短期目標
(FY2026まで)
自社が排出するCO2排出量(Scope1+2)をFY2024対比で30%削減
中期目標
(FY2030まで
自社が排出するCO2排出量(Scope1+2)を実質ゼロ
長期目標
(FY2050まで)

 

自社のサプライチェーン全体が排出するCO2排出量(Scope1,2,3)を実質ゼロ

CO2排出量実績と取り組み (FY2025)

FY2025においては、国内連結子会社、在外連結子会社へ算定対象の開示を拡大し、GHGプロトコルに基づき算定しました。今後も各社での削減の取り組みを支援するとともに、HISグループ全体でのCO2排出量把握および削減へ向けて取り組んでまいります。


算出方法について

CO2排出量Scope2の算定においては、環境省・経済産業省公表の「電気事業者別排出係数」の最新値を使用しております。なお、決算期末時点において当該年度の係数が未公表の場合は前年度の係数を用いて算定し、翌年度の報告において確定係数を用いて遡及修正を行うこととしております。これに基づき、当報告書におけるFY2024の実績値は、確定した係数を用いて修正しております。

■ 株式会社エイチ・アイ・エス

CO2排出量内訳(単位:t-CO2)
  Scope1+2
FY2025実績
削減率
(基準年FY2024比)
Scope3
FY2025実績
株式会社エイチ・アイ・エス 1,422 16.8% 1,267,532
削減の取り組み
当社において、Scope1,2においてはScope2の比率が99.5%と高く、事業所の電力利用によるものです。上記目標の達成に向けて省エネに努めるとともに、再エネ指定の非化石証書を調達することにより65万kWhの電力を再生可能エネルギー由来へと転換し、基準年2024年度比16.8%削減を達成いたしました。
Scope3においては、当社事業活動において該当する全てのカテゴリ(カテゴリ1~7,11,13)において算定をした結果、Scope1~3の総排出量の99.9%をScope3が占めておりそのScope3のうち98.6%がカテゴリ11(販売した商品の使用)によるもので、カテゴリ11のうち73.2%が国内外の航空機利用におけるジェット燃料によるものでした。
当社のScope3、カテゴリ11の削減へ向けては、事業パートナーとの協働、新たな脱炭素サービスへの出資、お客様への情報や脱炭素プランの提供などを通じて削減の取り組みを推進しています。FY2025は、売上の一部を拠出しSAF利用を促進するプログラムに参加することで、お客様とともにScope3の削減を目指すパッケージツアーを企画し販売をし、約670名様にご参加いただき480t相当のCO2削減につながりました。また、車移動に伴う排出量削減へ向けてはHIS海外現地法人と連携し、EVカーやEVバスの導入を進めています。
また、Scope3 カテゴリ1(購入)の削減へ向けては、当社でプラスチック使用量70%削減(FY2019対比)、コピー用紙使用量70%削減(FY2019対比)をFY2026までに達成することを目標に、削減への取り組みを推進しております。FY2025においては、ビニール袋の一部にバイオマス25%配合したものを新たに採用しました。またコピー用紙においては、森を守るFSC®認証コピー用紙を利用するとともにペーパーレス化を進めています。
具体的な取り組み及び進捗状況は、「地球環境の保全」をご覧ください。

■ 国内ホテル事業、九州産交グループ

CO2排出量内訳(単位:t-CO2)
  Scope1+2 Scope3
国内ホテル事業 ※1

8,438

100,832
九州産交グループ 12社※2 33,323 32,826

※1  Scope1+2に関してはH.I.S.ホテルホールディングス株式会社、ヴィソンホテルマネジメント株式会社、Scope3に関してはH.I.S.ホテルホールディングス株式会社の数値を記載しております。
※2  九州産交グループ12社は、九州産業交通ホールディングス株式会社、九州産交バス株式会社、九州産交ツーリズム株式会社、九州産交ランドマーク株式会社、九州産交リテール株式会社、産交バス株式会社、熊本フェリー株式会社、九州産交オートサービス株式会社、株式会社KASSE JAPAN、九州産交プランニング株式会社、九州BMサービス株式会社、有限会社谷口自動車の数値を記載しております。

削減の取り組み
国内ホテル事業においては、電力ロス削減ソリューション『POWER GUARD』の導入を進め、FY2025は8施設になりました。FY2026はさらに2施設追加予定です。
1ホテルあたり約1割の電力使用量の削減につながっております。また、九州産交グループにおいては、バス事業ではアイドリング&スタートシステムの導入によりエンジンカットの実施やデジタルタコグラフを活用したエコドライブの推進を行っております。また、九州産交ランドマーク株式会社と九州BMサービス株式会社では、SAKURA  MACHI Kumamotoにおいて冷却塔設備で地下水を冷却用として活用することにより放熱を抑制し、CO2排出量の低減に取り組んでいます。

■ その他連結グループ会社 

CO2排出量内訳(単位:t-CO2)
  Scope1+2
国内連結子会社 18社 ※4

8,438

海外連結子会社  28社 ※5 33,323

※4  H.I. S.ホテルホールディングス株式会社、九州産交グループを除く国内子会社18
社。なお、Scope2において、Cross Eホールディングス株式会社、ハウステンボス・技術センター株式会社においては、区画入居で会社毎のデータ取得が物理的に困難なため集計対象外としております。また、株式会社クオリタなど提出会社のオフィス内に入居する子会社は、提出会社のScope2に計上しております。
※5  HAWAII HIS CORPORATION、H.I.S. INTERNATIONAL TOURS (NY)INC.、H.I.S. GUAM, INC.、H.I.S. KOREA CO., LTD.、H.I.S. Tours Co.,Ltd.、PT. HARUM INDAH SARI TOURS & TRAVEL、HIS (HONG KONG)
COMPANY LIMITED、H.I.S. TAIWAN COMPANY LIMITED、H.I.S.INTERNATIONAL TRAVEL PTE LTD、H.I.S. AUSTRALIA PTY. LTD. 他18社

その他の「環境」情報