HIS Group Purposeである"「心躍る」を解き放つ"は、持続可能で平和な社会と、健全な地球環境を保全し続けることで成り立つと考えています。
　私たちの祖業である旅行業は平和産業です。その平和を維持していくためには、世界各国・地域の人々の間で相互理解を深めていくことが重要であり、「旅」を通じてその機会を創出していくことが私たちの存在意義であると考えています。また同時に、事業活動の中に地球環境の保全に繋がる活動を取り入れ、それらを実践していくことで、サステナブルな未来を目指しています。私たちの事業領域は、旅行業やその関連事業、そしてもっと新しい領域にまで、挑戦を繰り返しながら広がっています。 
　創業50周年を迎える2030年に向け、HISグループはどのような企業でありたいかを示す想いを「Vision 2030」として掲げ、７つのマテリアリティ（重要課題）を定めています。これらのマテリアリティに誠実に向き合いながらSDGsへの貢献を進めるとともに、PDCAサイクルの実践で事業を成長させ「Vision 2030」の実現を目指してまいります。 

　この実現のために重要だと考えているのが「多様な人財の活躍」です。HISグループでは、「人財こそが価値創造の源泉である」という信念のもと、社員一人ひとりが働きがいを感じ、心躍る仕事ができる環境づくりに取り組んでいます。多様性を力に変えるため、DEIB（Diversity, Equity, Inclusion, Belonging）の推進を重要なテーマとし、社員が自分らしく挑戦し成長できる基盤を整備しています。特に女性活躍の推進においては、女性管理職・役員比率の拡大を目指し、数値目標を掲げたプロジェクトを展開するとともに、ジェンダーを問わず仕事と育児を両立できる環境整備にも力を入れています。また、グローバルな事業展開を支える多国籍の人財の活躍を促進するため、海外関係会社における外国籍マネージャー比率を2026年10月期までに65%に引き上げる目標を掲げるなど、国籍や文化を超えた多様な人財の成長を支援しています。加えて、社員が安心して働ける快適で安全な職場環境の整備を進め、身体的・心理的安全性を確保しながら、社員満足度の向上にも取り組んでいます。働きがいの指標としている社員満足度調査では、2024年10月期に実施した調査結果でHIS単体の満足度が過去最高の64.5%を記録しました。また、今回から調査対象をHIS単体からグループ全体に拡大し、65.1%となりました。今後も全世界で80%以上の達成を目指し、引き続き取り組んでまいります。
　社員一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、多様性を尊重しながら、働きがいのある職場づくりと人財育成を通じて、持続的な成長と価値創造を実現してまいります。

　HISグループは、国籍や人種、文化、宗教などの違いを越え、多様性と人権を尊重し、全ての人々が安心して暮らせる社会と地球環境の保全を目指しています。共存・共生・共栄の社会を築くため、事業を通じて社会課題や環境問題に真摯に向き合い、「心躍る」未来を創造してまいります。
　2024年10月期には、温室効果ガスの定量的な実績把握を進めるとともに、SAF（持続可能な航空燃料）分野への投資を行い、沖縄県のホテルやタイ・バンコク市内の観光において電気自動車の導入を推進しました。また、HISグループは人権の尊重をサステナビリティ
の根幹と位置づけ、役員・従業員が互いに尊重し合い、サプライチェーン全体で人権を尊重する事業運営を重視しています。この考えを明確にし、責任を果たすため、2024年12月に「HISグループ人権方針」を策定しました。グループ内での浸透と事業活動への定着を図るとともに、取引先にも本方針への理解と賛同を求め、人権デュー・デリジェンスの仕組みを構築・実施してまいります。
　また、皆様から信頼され、選ばれ続ける企業を目指すためには、持続的な成長と企業価値向上、および、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めることが不可欠と認識しています。従業員一人ひとりがHIS Group Philosophyに基づき、ステークホルダーの皆様の権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に取り組むとともに、今後は、リスク管理体制の強化や取締役の専門性向上、非財務情報の定量的目標設定など、さらなる改善に努めてまいります。　HISグループは、サステナビリティ経営を推進し、企業価値の向上と持続可能な未来の実現に向けて挑戦を続けてまいります。